おもらしかあさん4
(オシッコ・・・・。)
思わずつぶやきそうになる私。
オシッコがしたいのだ。
(まだまだかかるよね・・・・。)
私は今、旦那が運転する車の助手席にいる。
後ろには5歳の息子。
車は今、渋滞の途中でなかなか動かない。
(ああ・・・。オシッコしたい・・・・。)
そればかりが頭に浮かぶ。膀胱に意識を集中していないとオシッコがあふれ出してしまいそうだ。
だが、それだけはなんとしても避けないといけない。
29歳にもなってパンツを履いたままオシッコ・・・・。
トイレでもないところで我慢できずにオシッコ・・・・。
そんなことは許されるはずもない。
(でも、このままだと・・・・。)
私の頭に3つの悪夢が思い浮かぶ。
実は私にはさっき言った許されない失敗を既に3回も経験していたのだ。
1回目はスーパーのトイレでジーパンが脱げずに・・・・。
2回目は家のトイレの便座が上がっていて・・・・。
3回目はゲームセンターのトイレでの順番待ちの途中で・・・。
思い出しただけで顔が熱くなる。
(今度こそ・・・・・今度こそトイレで!)
そう誓う私だが、膀胱は言うことを聞いてくれそうにない。
しきりにオシッコを出しスッキリしたいと主張してばかりいる。
(やっぱり、サービスエリアで行っておけば良かった。)
今更遅い後悔をする私。
30分前にサービスエリアに寄ったのだが、女子トイレには長い行列ができていた。
トイレが不安な私はもちろんそこに並んだ。
しかし、半分位まで並んだところで携帯にメールが来た。どうやら先にトイレを済ませた息子が退屈してぐずっているようだ。
迷ったけど、まだしたくないし大丈夫だろうと考え、列を離れてしまった私。
だが、トイレに行けなかったことで不安になり余計トイレが気になってしまった。
その結果がこのオシッコ我慢地獄である。
息子思いの優しい母親を演じようとしてオモラシだなんて格好がつかない。
自分の頭の悪さに嫌気がさすが、反省するのは無事にオシッコを済ませてからだ!
(トイレって言った方がいいかな・・・?)
隣で運転する旦那を見る。
息子と一緒に男子トイレでスッキリしているだろうから私が何も言わないことにはトイレ休憩はしてくれないだろう。
とはいっても、こんな高速道路のど真ん中でトイレに行きたいことを伝えてもどうしようもないだろう。
(もうすぐ・・・・といっても渋滞でそれがいつになるかはわからないけど・・・・次で高速降りるはずだからその後言おう・・・・。)
そう考えるがじっと我慢していると漏れ出しそうになるオシッコ。
もぞもぞくねくねと動かしそうになる体を必死に理性で押さえつけ、お腹を軽くさすったり、脚をなでたりして気を紛らわす。
(やっぱり言おうかな・・・。)
旦那に話すことで状況は何も変わらないだろう。
ただ、1人で孤独にオシッコと戦うよりも少し楽になる気がした。
根拠はないのだが・・・・。
(でも・・・・。)
私は昨晩の自宅で出来事を思い出した。
「いやぁ・・・。疲れた疲れた!!」
苦笑いを浮かべながら話している旦那。仕事がいつも以上に忙しかったようだ。
「お疲れ様。大変だったね・・・。」
「ああ・・・・。でも、おかげで明日からの連休は休めそうだよ! 明日は約束通り家族全員で遊園地だな!」
「そうね。」
家族全員で行く予定だった遊園地。
旦那の仕事などいろいろな用事がありなかなか実現できなかったが、今度こそ行けそうだ。
しかし、私には1つ不安があった。
「しっかし、連休はやっぱし渋滞しそうだよなぁ・・・・。」
「そう・・・・。」
「渋滞って言えばやっぱり心配なのはトイレだよな! 去年、遊園地行った時、おまえむっちゃ怒ってたよな! 我慢できないからって立ちションなんてしちゃダメでしょ! だから早めにトイレに行っておきなさいって言ったじゃないの! お母さんが子供のときはそんなことしてなかったわよ! 来年には年長さんになるんだからオシッコはちゃんとトイレでしないとダメじゃないの! って感じでさぁ・・・。」
旦那が笑いながら話していた。
それは本当だ。少し前だったら私も一緒になって笑っていたことだろう。
しかし、今の私にはそれを笑えないある理由があった。
「なぁ・・・・。ちょっと聞いたんだけど、おまえションベン漏らしてるって本当か?」
旦那が小声で聞いてきた。
遂に恐れていた事態が起きてしまったようだ・・・・。
そう、私はここ最近、3回もオシッコを漏らしてしまっているのだ。
29歳の女として決して許されないオモラシという失態。
絶対に旦那には知られなくなかった。
しかし、隠していてもいつかはバレるだろう・・・。
私は覚悟を決めた。
「その・・・・ちょっと、間に合わなくて・・・・。ごめんなさい!」
「本当なのか・・・・・。」
旦那は複雑な顔をした。
「まぁ、俺も仕事が忙しくて漏れちまいそうになることはあるよ。子供でも大人でもションベンはしたくなるし、我慢できないこともあると思うぜ。ただ・・・・俺たち親がしっかりしていないと子供に示しがつかないしな・・・。そこは気をつけてくれよ。」
しばらく考え込んだあと旦那は言った。
「わかっていると思うけど、渋滞中に急にトイレって言われても無理だからな。本当に明日は気をつけてくれよ。」
(どうしよう・・・・・。)
気をつけてはいたつもりだった。
でも、結局トイレを後回しにしてしまった・・・・。
(怒られるかな・・・・。)
そう考えるとどうしても口から言葉が出てこない。
でも、オシッコがしたい!
今にもスカートの下の真っ白のパンツの中に漏らしてしまいそうだ!
私が悩みに悩んでいると・・・。
「っ・・・!!」
急に耳に入ったブレーキ音。
そして、ガクッと止まる車。
振動が膀胱に伝わり危うくオシッコをぶちまけてしまいそうになった。
私は考えるより先に両手でスカートの上からオシッコの出口を押さえていた。
姿勢は自然と前かがみになっていた。
「ごめんごめん!! 渋滞が続いてたからついぼーっとしてしまって・・・。大丈夫か!?」
旦那が話しかけてくる。
しかし、私は答えられない。
口を開くとオシッコが漏れ出してしまいそうだ。
「・・・・どうした?」
旦那がこっちを見ているようだ。
私は今、両手で股間を押さえて、前かがみになり、目をきつく閉じている。
とても恥ずかしい格好だ。
だが、私はこの格好をやめることはできなかった。
少しでも動いたらそれ以上に悲惨なオモラシという結果が待っている。
「・・・・トイレか?」
旦那が言う。
気づかれてしまった・・・。
ようやくオシッコを押しとどめることに成功しつつあった私はコクコクと無言で頷いた。
「・・・・・もうすぐ高速出るから、そしたら急いでコンビニ探すよ! すまんな、サービスエリアではせかせちまって・・・。」
怒られなかったことに安堵した私。
だが、本当に安心するのはまだまだ先だ。
高速を降りてどこかトイレのあるところで止めてもらう。トイレでパンツを脱ぐまで決して気を緩めてはいけない。
ようやく両手を離した私。
だが、オシッコが漏れそうなのには変わりはない。
しばらくはお尻をもぞもぞさせたり、腰をくねくね動かしたりしてオシッコを堪えていたが、限界が来て、結局右手でスカートの上から股間を押さえてしまう。
姿勢は再び前かがみになり白いスカートを睨みつけた。
(やっぱり・・・・。)
私は今朝の出来事を思い出した。
「ないなー・・・・・。」
今日履いていく服を選んでいた私。
やはりいくつになってもオシャレはしたい。
時間がないにもかかわらず悩んでしまう。
とはいえ、悩むのは主にボトムスの方だ。
(ジーパンは履きたくないし・・・・・。)
過去3回のオモラシの時は毎回ジーパンを履いていた。
1回目の時はトイレには間に合ったのに、焦ってしまってジーパンの前ボタンが外れず、パンツをジーパンを濡らしてしまっていた。
ジーパンさえちゃんと脱げていればと思うと悔しくてたまらない。
小学1年生の時もオモラシしそうなのにジーパンが脱げずに泣きそうになったことはあった。もっともその時はちゃんと脱ぐまで我慢できたのだが・・・・。
(・・・・とにかくジーパンはイヤ!)
そう思い目線をゴムの黒いスウェットに向ける。
(これなら・・・・。)
ゴムのスウェットだから急いでいてもパンツと一緒にずり下ろせばすぐお尻が出せる。小学3年生のときにはオモラシ寸前でトイレに飛び込み、素早くブルマとパンツのゴムを掴みお尻を出したことでオモラシを回避している。だが・・・。
(ダメダメ・・・・!!)
さすがにスウェットで人が多いところに出かける気にはならなかった。
(やっぱりスカートが一番なんだけど・・・・。)
スカートならまくりあげてパンツを下ろせばすぐにトイレができる。それに万一、間に合わなくてもズボン系の服装より濡れる箇所は少なく被害が・・・・って何を考えているの!
とにかく、トイレですぐパンツを脱げるスカートで出かけようと私は考えていた。
(でも、ないのよねぇ・・・・・。)
最近はお金のことばかり気になり安物のスカートばかり買っている。
そのため、どれもこれもイマイチな気がしてしまう・・・・。
昔買っていたスカートはちょっと派手すぎたり短すぎたりするし・・・・・。
(・・・・ってもうこんな時間!?)
息子や旦那をいつまでも待たせるわけにはいかない。
私は昔履いてたスカートの中でも比較的、地味な白いスカートを履くことにした。
(そういえば、パンツも白なのよね・・・・。)
買ったばかりの真っ白なパンツ。
絶対にオシッコで汚したくはない。
だが、今回は車に長く乗るためなかなかトイレに行けずにもしかしたら・・・・。
(・・・・ってだからなんで漏らす前提で考えてるのよ!)
漏らすかもしれないからという少し前なら考えもしかなったことが頭に浮かぶのが情けなくてたまらない。
(パンツなんてどれでもいいじゃないの!)
そう自分に言い聞かせてスカートを履く私。
(このままじゃ、トイレに着くまでに絶対にチビっちゃう・・・・。こんなことなら別のパンツにすれば良かった・・・・。)
情けない考えばかり頭に浮かぶ私。
(白のスカートだと漏らしたらすごく目立つよね・・・・。ああ、でも立ったままならそこまで濡れないかも・・・・・。なんとか車を降りるまで・・・・。)
車を降りたらオモラシしてもいいかもなどというとんでもないことを考え始める私の頭。
(ダメダメダメー!! 息子だけじゃなく旦那まで見てるのにオモラシなんて絶対ダメ!! 車を降りるまでがゴールじゃないのよ!! ちゃんとトイレでお尻を出すまでがゴールなのよ!! 買ったばかりのパンツに黄色いシミなんてつくりたくないでしょ!! パンツを脱ぐまで我慢するのよ!!)
そう必死に自分に言い聞かせなんとかパンツを濡らさないように耐え続ける私だった。
15分後。
「えっと・・・、どこかトイレ借りられるところは・・・・。ええっ・・・・、あっ! あったぞ!」
旦那がコンビニを発見した。
高速を降りてすぐの所にあったのだ。
だが、既に我慢は限界。
私はスカートをまくりあげ、パンツの上から直接出口を押さえてしまっていた。
そうすると少し楽になるような気がしたのだ。
非常に情けない格好だが旦那も息子も何も言わないでくれた。
「頑張れ! もう少しだ! すぐ車止めるからな!」
旦那が叫んでいる。
もう少しという言葉に反応し、オシッコが漏れ出しそうになるが、まだダメだ!
しつこいようだが、パンツを脱ぐまで油断は禁物!!
「くそ・・・・。駐車場がいっぱいだ・・・・・。」
「一箇所空いてたが止めにくいな・・・・。」
「大丈夫か!? まだ我慢できそうか?」
旦那が話しかけるが答える余裕はない。
「お母さん、頑張って!」
息子も応援してくれている。
そうだ、ここで漏らしたらまた息子に恥をかかせてしまう。
なんとしても漏らすわけにはいかない!自分のためにも家族のためにも!
「よし、オッケー! 気をつけて行ってきな!」
「漏らしちゃダメだよ!」
旦那と息子に見送られ、スカートの中に手を入れたままの格好でコンビニのトイレを目指す。
(もう少し・・・・もう少し・・・・!!)
そう考えないとオシッコに体が屈してしまいそうだ。
(・・・・・?)
コンビニに人がいる。
買い物客?
いや、違う・・・。
みんな同じ方向を向いている・・・・。
レジ・・・・に並んでいるわけでもない・・・・。
(嘘・・・・もしかして・・・・!?)
私の悪い予感はあたった。
トイレに4人の人が並んでいた。
高速道路のすぐ近くにあるトイレ。
私と同じことを考える人がいても当然だ。
仕方なく一番うしろに並ぶ私。
だが、そこで遂にオシッコが漏れ出してしまった。
買ったばかりの真っ白なパンツが黄色く染まる。
そのことを気にする余裕もなく、必死にその場で足踏みを始める私。
前に並ぶ4人が驚いたようにこっちを振り返る。
大学生風の男の子2人は笑いをこらえている。
私と同じ年くらいの女性2人は軽蔑するような睨みつけるような目つきをしている。
恥ずかしくてたまらないがそれでも足踏みはやめられない。
(あっ、ああっ・・・・!!)
再びパンツの中にオシッコが飛び出してきた。
足踏みだけではこらえきれず、その場をウロウロしはじめる私。
両手はパンツを下から押さえたまま離せない。
(どうしようどうしようどうしよう!!)
コンビニにトイレは1つ。
4人が終わるまで待てるわけがない!
恥ずかしいけど先に入れてもらって・・・・いや、でもそれでも・・・・。
ああ、見られてる見られている!!
店員さんもこっち見てる!!
どうしようどうしよう!!
ダメッ!! 漏れちゃう!!
私は視線に耐え切れずコンビニの外に出た。
外では息子と旦那が心配そうにこっちを見ていた。
(パンツを脱がなきゃ! パンツの中にしちゃダメ!!)
そんな考えが思い出され、私は物陰に向かって走ろうとした。
だが、その間にもジョロジョロとオシッコが漏れ出してくる。
パンツの上から押さえているため、かなりの量を漏らしてしまっていることがわかった。
(もう、ダメッ!!)
私は白のスカートをおもいっきりまくりあげた。
真っ白なパンツが丸見えだったことだろう。当然、股間付近の黄色いシミも。
そして、お尻を出すためパンツを脱ごうとしたが、
(このまえ立ちションしちゃってたじゃないのよ! お母さんが子供のときはそんなことしてなかったわよ!)
今度はそんな言葉が思い浮かんだ。少し前まで息子によく言っていた言葉だ。
そして、パンツに手をかけることができなくなってしまった。
なすすべもなくお尻を包むパンツにはオシッコが漏れ出していく。
スカートをまくりあげていたため、白いスカートが黄色く染まらなかったことだけは幸いだ。
(あっ・・・ああっ・・・・・・。)
1分くらいしただろうか?
私にはとても長く感じられた。
私はパンツを履いたままオシッコを全て漏らしてしまったのだ。
4回目のオモラシ。 しかも後ろには旦那がいる。
(見られちゃったんだ・・・・・・。)
私は恥ずかしくてたまらなかった。
その後、私は再びコンビニに入り商品棚からピンクのショーツを取りレジに並んだ。
幸いにも若い女性の店員さんだった。
さっきの様子を目撃していた店員さんは私のガニ股気味な歩き方を見て、すべてを察していたようだ。
無理やりつくっているのか笑いをこらえいるのか・・・・どちらにしても店員さんの不自然な笑顔がたまらなく恥ずかしく痛かった。
その後再びトイレに並び新しく買ったパンツに履き替えた。
前に並んでいた大学生は笑いながら何かを話していた。
後ろに並んでいたおじさんやおばさんも私の不自然な歩き方や手に持ったパンツから事態を察していたようだ。
恥ずかくてたまらないはずだが、既に恥ずかしい出来事が多すぎ感覚が麻痺していたのかやけに冷静だった。
トイレでパンツを履き替えている途中で私の目から涙がこぼれ落ちてきた。
涙はなかなか止まらないがいつまでも泣いてはいられない。
買ったばかりだった真っ白パンツは言うまでもなく黄色く染まってしまっていた。
迷ったが、結局捨てることにした。
外では旦那と息子が待っていた。
顔を合わせるのが怖いが、顔を合わせないわけにはいかない。
「大丈夫か・・・・?」
旦那が言う。
「また、漏らしちゃったの?」
息子が言う。
どう答えればいいのかわからない。
しばらく考え込んだあと私は言った。
「・・・・・はははは。漏らしちゃった!」
泣きながら笑う私。
「おいおい、本当に大丈夫かよ?」
旦那が心配そうに聞く。
「大丈夫大丈夫! スカートは濡れてないし、パンツは履き替えたし・・・・。」
私は続けた。
「ねぇ・・・・。オモラシしちゃうようなお母さんは嫌い?」
私は息子に聞いた。
「・・・・・・嫌いじゃないよ。」
息子は答えた。
「私のこと嫌いになった?」
今度は旦那の方を見て言った。
「そんなわけないよ! かあさん頑張ってたよな? ちゃんとトイレまで我慢してえらいぞ! 漏れそうな状態であんだけ並んでる人いたら俺でも漏らしてたよ! 並んでる人さえいなければセーフだったよな! 」
旦那が言った。
「うん! お母さんは頑張ってたよ! 僕の方こそ、並んでいるの邪魔してごめんね!」
息子と旦那が言った。
「それじゃあ、一緒に遊園地行っても・・・・。」
「いいよ!」
「ああ、でも無理するなよ!」
「それじゃあ、遊園地まではあとちょっとよ! 遊園地に向かって・・・レッツゴー!」
思わずつぶやきそうになる私。
オシッコがしたいのだ。
(まだまだかかるよね・・・・。)
私は今、旦那が運転する車の助手席にいる。
後ろには5歳の息子。
車は今、渋滞の途中でなかなか動かない。
(ああ・・・。オシッコしたい・・・・。)
そればかりが頭に浮かぶ。膀胱に意識を集中していないとオシッコがあふれ出してしまいそうだ。
だが、それだけはなんとしても避けないといけない。
29歳にもなってパンツを履いたままオシッコ・・・・。
トイレでもないところで我慢できずにオシッコ・・・・。
そんなことは許されるはずもない。
(でも、このままだと・・・・。)
私の頭に3つの悪夢が思い浮かぶ。
実は私にはさっき言った許されない失敗を既に3回も経験していたのだ。
1回目はスーパーのトイレでジーパンが脱げずに・・・・。
2回目は家のトイレの便座が上がっていて・・・・。
3回目はゲームセンターのトイレでの順番待ちの途中で・・・。
思い出しただけで顔が熱くなる。
(今度こそ・・・・・今度こそトイレで!)
そう誓う私だが、膀胱は言うことを聞いてくれそうにない。
しきりにオシッコを出しスッキリしたいと主張してばかりいる。
(やっぱり、サービスエリアで行っておけば良かった。)
今更遅い後悔をする私。
30分前にサービスエリアに寄ったのだが、女子トイレには長い行列ができていた。
トイレが不安な私はもちろんそこに並んだ。
しかし、半分位まで並んだところで携帯にメールが来た。どうやら先にトイレを済ませた息子が退屈してぐずっているようだ。
迷ったけど、まだしたくないし大丈夫だろうと考え、列を離れてしまった私。
だが、トイレに行けなかったことで不安になり余計トイレが気になってしまった。
その結果がこのオシッコ我慢地獄である。
息子思いの優しい母親を演じようとしてオモラシだなんて格好がつかない。
自分の頭の悪さに嫌気がさすが、反省するのは無事にオシッコを済ませてからだ!
(トイレって言った方がいいかな・・・?)
隣で運転する旦那を見る。
息子と一緒に男子トイレでスッキリしているだろうから私が何も言わないことにはトイレ休憩はしてくれないだろう。
とはいっても、こんな高速道路のど真ん中でトイレに行きたいことを伝えてもどうしようもないだろう。
(もうすぐ・・・・といっても渋滞でそれがいつになるかはわからないけど・・・・次で高速降りるはずだからその後言おう・・・・。)
そう考えるがじっと我慢していると漏れ出しそうになるオシッコ。
もぞもぞくねくねと動かしそうになる体を必死に理性で押さえつけ、お腹を軽くさすったり、脚をなでたりして気を紛らわす。
(やっぱり言おうかな・・・。)
旦那に話すことで状況は何も変わらないだろう。
ただ、1人で孤独にオシッコと戦うよりも少し楽になる気がした。
根拠はないのだが・・・・。
(でも・・・・。)
私は昨晩の自宅で出来事を思い出した。
「いやぁ・・・。疲れた疲れた!!」
苦笑いを浮かべながら話している旦那。仕事がいつも以上に忙しかったようだ。
「お疲れ様。大変だったね・・・。」
「ああ・・・・。でも、おかげで明日からの連休は休めそうだよ! 明日は約束通り家族全員で遊園地だな!」
「そうね。」
家族全員で行く予定だった遊園地。
旦那の仕事などいろいろな用事がありなかなか実現できなかったが、今度こそ行けそうだ。
しかし、私には1つ不安があった。
「しっかし、連休はやっぱし渋滞しそうだよなぁ・・・・。」
「そう・・・・。」
「渋滞って言えばやっぱり心配なのはトイレだよな! 去年、遊園地行った時、おまえむっちゃ怒ってたよな! 我慢できないからって立ちションなんてしちゃダメでしょ! だから早めにトイレに行っておきなさいって言ったじゃないの! お母さんが子供のときはそんなことしてなかったわよ! 来年には年長さんになるんだからオシッコはちゃんとトイレでしないとダメじゃないの! って感じでさぁ・・・。」
旦那が笑いながら話していた。
それは本当だ。少し前だったら私も一緒になって笑っていたことだろう。
しかし、今の私にはそれを笑えないある理由があった。
「なぁ・・・・。ちょっと聞いたんだけど、おまえションベン漏らしてるって本当か?」
旦那が小声で聞いてきた。
遂に恐れていた事態が起きてしまったようだ・・・・。
そう、私はここ最近、3回もオシッコを漏らしてしまっているのだ。
29歳の女として決して許されないオモラシという失態。
絶対に旦那には知られなくなかった。
しかし、隠していてもいつかはバレるだろう・・・。
私は覚悟を決めた。
「その・・・・ちょっと、間に合わなくて・・・・。ごめんなさい!」
「本当なのか・・・・・。」
旦那は複雑な顔をした。
「まぁ、俺も仕事が忙しくて漏れちまいそうになることはあるよ。子供でも大人でもションベンはしたくなるし、我慢できないこともあると思うぜ。ただ・・・・俺たち親がしっかりしていないと子供に示しがつかないしな・・・。そこは気をつけてくれよ。」
しばらく考え込んだあと旦那は言った。
「わかっていると思うけど、渋滞中に急にトイレって言われても無理だからな。本当に明日は気をつけてくれよ。」
(どうしよう・・・・・。)
気をつけてはいたつもりだった。
でも、結局トイレを後回しにしてしまった・・・・。
(怒られるかな・・・・。)
そう考えるとどうしても口から言葉が出てこない。
でも、オシッコがしたい!
今にもスカートの下の真っ白のパンツの中に漏らしてしまいそうだ!
私が悩みに悩んでいると・・・。
「っ・・・!!」
急に耳に入ったブレーキ音。
そして、ガクッと止まる車。
振動が膀胱に伝わり危うくオシッコをぶちまけてしまいそうになった。
私は考えるより先に両手でスカートの上からオシッコの出口を押さえていた。
姿勢は自然と前かがみになっていた。
「ごめんごめん!! 渋滞が続いてたからついぼーっとしてしまって・・・。大丈夫か!?」
旦那が話しかけてくる。
しかし、私は答えられない。
口を開くとオシッコが漏れ出してしまいそうだ。
「・・・・どうした?」
旦那がこっちを見ているようだ。
私は今、両手で股間を押さえて、前かがみになり、目をきつく閉じている。
とても恥ずかしい格好だ。
だが、私はこの格好をやめることはできなかった。
少しでも動いたらそれ以上に悲惨なオモラシという結果が待っている。
「・・・・トイレか?」
旦那が言う。
気づかれてしまった・・・。
ようやくオシッコを押しとどめることに成功しつつあった私はコクコクと無言で頷いた。
「・・・・・もうすぐ高速出るから、そしたら急いでコンビニ探すよ! すまんな、サービスエリアではせかせちまって・・・。」
怒られなかったことに安堵した私。
だが、本当に安心するのはまだまだ先だ。
高速を降りてどこかトイレのあるところで止めてもらう。トイレでパンツを脱ぐまで決して気を緩めてはいけない。
ようやく両手を離した私。
だが、オシッコが漏れそうなのには変わりはない。
しばらくはお尻をもぞもぞさせたり、腰をくねくね動かしたりしてオシッコを堪えていたが、限界が来て、結局右手でスカートの上から股間を押さえてしまう。
姿勢は再び前かがみになり白いスカートを睨みつけた。
(やっぱり・・・・。)
私は今朝の出来事を思い出した。
「ないなー・・・・・。」
今日履いていく服を選んでいた私。
やはりいくつになってもオシャレはしたい。
時間がないにもかかわらず悩んでしまう。
とはいえ、悩むのは主にボトムスの方だ。
(ジーパンは履きたくないし・・・・・。)
過去3回のオモラシの時は毎回ジーパンを履いていた。
1回目の時はトイレには間に合ったのに、焦ってしまってジーパンの前ボタンが外れず、パンツをジーパンを濡らしてしまっていた。
ジーパンさえちゃんと脱げていればと思うと悔しくてたまらない。
小学1年生の時もオモラシしそうなのにジーパンが脱げずに泣きそうになったことはあった。もっともその時はちゃんと脱ぐまで我慢できたのだが・・・・。
(・・・・とにかくジーパンはイヤ!)
そう思い目線をゴムの黒いスウェットに向ける。
(これなら・・・・。)
ゴムのスウェットだから急いでいてもパンツと一緒にずり下ろせばすぐお尻が出せる。小学3年生のときにはオモラシ寸前でトイレに飛び込み、素早くブルマとパンツのゴムを掴みお尻を出したことでオモラシを回避している。だが・・・。
(ダメダメ・・・・!!)
さすがにスウェットで人が多いところに出かける気にはならなかった。
(やっぱりスカートが一番なんだけど・・・・。)
スカートならまくりあげてパンツを下ろせばすぐにトイレができる。それに万一、間に合わなくてもズボン系の服装より濡れる箇所は少なく被害が・・・・って何を考えているの!
とにかく、トイレですぐパンツを脱げるスカートで出かけようと私は考えていた。
(でも、ないのよねぇ・・・・・。)
最近はお金のことばかり気になり安物のスカートばかり買っている。
そのため、どれもこれもイマイチな気がしてしまう・・・・。
昔買っていたスカートはちょっと派手すぎたり短すぎたりするし・・・・・。
(・・・・ってもうこんな時間!?)
息子や旦那をいつまでも待たせるわけにはいかない。
私は昔履いてたスカートの中でも比較的、地味な白いスカートを履くことにした。
(そういえば、パンツも白なのよね・・・・。)
買ったばかりの真っ白なパンツ。
絶対にオシッコで汚したくはない。
だが、今回は車に長く乗るためなかなかトイレに行けずにもしかしたら・・・・。
(・・・・ってだからなんで漏らす前提で考えてるのよ!)
漏らすかもしれないからという少し前なら考えもしかなったことが頭に浮かぶのが情けなくてたまらない。
(パンツなんてどれでもいいじゃないの!)
そう自分に言い聞かせてスカートを履く私。
(このままじゃ、トイレに着くまでに絶対にチビっちゃう・・・・。こんなことなら別のパンツにすれば良かった・・・・。)
情けない考えばかり頭に浮かぶ私。
(白のスカートだと漏らしたらすごく目立つよね・・・・。ああ、でも立ったままならそこまで濡れないかも・・・・・。なんとか車を降りるまで・・・・。)
車を降りたらオモラシしてもいいかもなどというとんでもないことを考え始める私の頭。
(ダメダメダメー!! 息子だけじゃなく旦那まで見てるのにオモラシなんて絶対ダメ!! 車を降りるまでがゴールじゃないのよ!! ちゃんとトイレでお尻を出すまでがゴールなのよ!! 買ったばかりのパンツに黄色いシミなんてつくりたくないでしょ!! パンツを脱ぐまで我慢するのよ!!)
そう必死に自分に言い聞かせなんとかパンツを濡らさないように耐え続ける私だった。
15分後。
「えっと・・・、どこかトイレ借りられるところは・・・・。ええっ・・・・、あっ! あったぞ!」
旦那がコンビニを発見した。
高速を降りてすぐの所にあったのだ。
だが、既に我慢は限界。
私はスカートをまくりあげ、パンツの上から直接出口を押さえてしまっていた。
そうすると少し楽になるような気がしたのだ。
非常に情けない格好だが旦那も息子も何も言わないでくれた。
「頑張れ! もう少しだ! すぐ車止めるからな!」
旦那が叫んでいる。
もう少しという言葉に反応し、オシッコが漏れ出しそうになるが、まだダメだ!
しつこいようだが、パンツを脱ぐまで油断は禁物!!
「くそ・・・・。駐車場がいっぱいだ・・・・・。」
「一箇所空いてたが止めにくいな・・・・。」
「大丈夫か!? まだ我慢できそうか?」
旦那が話しかけるが答える余裕はない。
「お母さん、頑張って!」
息子も応援してくれている。
そうだ、ここで漏らしたらまた息子に恥をかかせてしまう。
なんとしても漏らすわけにはいかない!自分のためにも家族のためにも!
「よし、オッケー! 気をつけて行ってきな!」
「漏らしちゃダメだよ!」
旦那と息子に見送られ、スカートの中に手を入れたままの格好でコンビニのトイレを目指す。
(もう少し・・・・もう少し・・・・!!)
そう考えないとオシッコに体が屈してしまいそうだ。
(・・・・・?)
コンビニに人がいる。
買い物客?
いや、違う・・・。
みんな同じ方向を向いている・・・・。
レジ・・・・に並んでいるわけでもない・・・・。
(嘘・・・・もしかして・・・・!?)
私の悪い予感はあたった。
トイレに4人の人が並んでいた。
高速道路のすぐ近くにあるトイレ。
私と同じことを考える人がいても当然だ。
仕方なく一番うしろに並ぶ私。
だが、そこで遂にオシッコが漏れ出してしまった。
買ったばかりの真っ白なパンツが黄色く染まる。
そのことを気にする余裕もなく、必死にその場で足踏みを始める私。
前に並ぶ4人が驚いたようにこっちを振り返る。
大学生風の男の子2人は笑いをこらえている。
私と同じ年くらいの女性2人は軽蔑するような睨みつけるような目つきをしている。
恥ずかしくてたまらないがそれでも足踏みはやめられない。
(あっ、ああっ・・・・!!)
再びパンツの中にオシッコが飛び出してきた。
足踏みだけではこらえきれず、その場をウロウロしはじめる私。
両手はパンツを下から押さえたまま離せない。
(どうしようどうしようどうしよう!!)
コンビニにトイレは1つ。
4人が終わるまで待てるわけがない!
恥ずかしいけど先に入れてもらって・・・・いや、でもそれでも・・・・。
ああ、見られてる見られている!!
店員さんもこっち見てる!!
どうしようどうしよう!!
ダメッ!! 漏れちゃう!!
私は視線に耐え切れずコンビニの外に出た。
外では息子と旦那が心配そうにこっちを見ていた。
(パンツを脱がなきゃ! パンツの中にしちゃダメ!!)
そんな考えが思い出され、私は物陰に向かって走ろうとした。
だが、その間にもジョロジョロとオシッコが漏れ出してくる。
パンツの上から押さえているため、かなりの量を漏らしてしまっていることがわかった。
(もう、ダメッ!!)
私は白のスカートをおもいっきりまくりあげた。
真っ白なパンツが丸見えだったことだろう。当然、股間付近の黄色いシミも。
そして、お尻を出すためパンツを脱ごうとしたが、
(このまえ立ちションしちゃってたじゃないのよ! お母さんが子供のときはそんなことしてなかったわよ!)
今度はそんな言葉が思い浮かんだ。少し前まで息子によく言っていた言葉だ。
そして、パンツに手をかけることができなくなってしまった。
なすすべもなくお尻を包むパンツにはオシッコが漏れ出していく。
スカートをまくりあげていたため、白いスカートが黄色く染まらなかったことだけは幸いだ。
(あっ・・・ああっ・・・・・・。)
1分くらいしただろうか?
私にはとても長く感じられた。
私はパンツを履いたままオシッコを全て漏らしてしまったのだ。
4回目のオモラシ。 しかも後ろには旦那がいる。
(見られちゃったんだ・・・・・・。)
私は恥ずかしくてたまらなかった。
その後、私は再びコンビニに入り商品棚からピンクのショーツを取りレジに並んだ。
幸いにも若い女性の店員さんだった。
さっきの様子を目撃していた店員さんは私のガニ股気味な歩き方を見て、すべてを察していたようだ。
無理やりつくっているのか笑いをこらえいるのか・・・・どちらにしても店員さんの不自然な笑顔がたまらなく恥ずかしく痛かった。
その後再びトイレに並び新しく買ったパンツに履き替えた。
前に並んでいた大学生は笑いながら何かを話していた。
後ろに並んでいたおじさんやおばさんも私の不自然な歩き方や手に持ったパンツから事態を察していたようだ。
恥ずかくてたまらないはずだが、既に恥ずかしい出来事が多すぎ感覚が麻痺していたのかやけに冷静だった。
トイレでパンツを履き替えている途中で私の目から涙がこぼれ落ちてきた。
涙はなかなか止まらないがいつまでも泣いてはいられない。
買ったばかりだった真っ白パンツは言うまでもなく黄色く染まってしまっていた。
迷ったが、結局捨てることにした。
外では旦那と息子が待っていた。
顔を合わせるのが怖いが、顔を合わせないわけにはいかない。
「大丈夫か・・・・?」
旦那が言う。
「また、漏らしちゃったの?」
息子が言う。
どう答えればいいのかわからない。
しばらく考え込んだあと私は言った。
「・・・・・はははは。漏らしちゃった!」
泣きながら笑う私。
「おいおい、本当に大丈夫かよ?」
旦那が心配そうに聞く。
「大丈夫大丈夫! スカートは濡れてないし、パンツは履き替えたし・・・・。」
私は続けた。
「ねぇ・・・・。オモラシしちゃうようなお母さんは嫌い?」
私は息子に聞いた。
「・・・・・・嫌いじゃないよ。」
息子は答えた。
「私のこと嫌いになった?」
今度は旦那の方を見て言った。
「そんなわけないよ! かあさん頑張ってたよな? ちゃんとトイレまで我慢してえらいぞ! 漏れそうな状態であんだけ並んでる人いたら俺でも漏らしてたよ! 並んでる人さえいなければセーフだったよな! 」
旦那が言った。
「うん! お母さんは頑張ってたよ! 僕の方こそ、並んでいるの邪魔してごめんね!」
息子と旦那が言った。
「それじゃあ、一緒に遊園地行っても・・・・。」
「いいよ!」
「ああ、でも無理するなよ!」
「それじゃあ、遊園地まではあとちょっとよ! 遊園地に向かって・・・レッツゴー!」
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