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フルールちゃんの失敗

「魔術師ランカン。人はそう呼ぶ。魔法剣士のセンデス先輩と比べちゃうと全然活躍していないけど、自分なりに頑張っているつもりだよ。この前も騎士リーナと協力して洞窟に住むオークをやっつけてきたし、その前はコボルトたちを倒してきたんだよ。
 そんな、ボクだから時には町の人から感謝されることもあるし、子どもから目標にされることもある・・・時々だけどね。
 それでさあ、それでさあ、きいてよ!この前よった町のフルールって子が、町を案内してくれるって言ってくれたんだ。ボクと同じくらいの年の子。
 
 こんなこと滅多になかったからね。もちろん、行くことにしたよ。町といってもどこにでもあるような町。織物の店が多いということ以外は特にこれといって案内することもなかったけどね。織物に関する話は少し退屈したけど、僕の話に興味を持ってくれて嬉しかったな。今まで経験してきた戦いとか、他の町の様子とか・・・たいした経験はしていないけど、フルールちゃんは町から出たこともほとんどないらしくて興味を持ってくれたんだ!
 それでお昼になってお腹がすいてきた。近くにあった高級料理店に入ることにした。値段は高かったけど気持ちよかったからついつい全額払うっいっちゃったね。フルールちゃんからも喜んでもらえた・・・かな? 少し話に飽きてきちゃっているかもね。
 料理は凄くおいしかった。普段は長旅用の携帯食とかしか食べていないからね。フルールちゃんも美味しいとはいっていたけど、顔はそれほどでもなかったかも・・・。後、ゼバルトティーがついてきたんだ。それも美味しかった。おかわり自由だったからドンドン飲んじゃったね。フルールちゃんも最初は遠慮していたけど、結局無理矢理飲ませちゃったかも・・・・。ちょっと意地汚い男の子だと思われちゃったかな?
 お店の人は北西部の山が綺麗だと教えてくれた。フルールちゃんも知っているみたいだったから店を出た後はそこを目指すことにした。結構距離はあるみたいだったから、また、話を続けた。旅の途中で食べる携帯食の話とか、他の町で見かけた珍しい食べ物の話とか・・・・でも、さっきほど喜んではもらえなかった。午前中はニコニコしていたのに、険しく鋭い目つきで、怒っているようにも見える・・・食べ物の話ばっかりだったかな?
 それで話を戻したんだ。魔術師としての活躍の話。でも、同じ話ばっかりになっちゃったの。そしたら、フルールちゃんはもう手悪戯を始めちゃって、そわそわし始めたんだ。早く帰りたそうな表情をし始めたの・・・・これはもう完全に嫌われちゃったかな・・・と思った。
 そこでもう思い切って聞いてみたんだ。『ごめんね、こんな話しかできなくて。もし、飽きちゃったみたいなら今日はもう帰ろうか?』
 でも、フルールちゃんは否定していたんだ。話は楽しかったし、もっと一緒にいたいって。でも、気を使っているだけだと思ってまた言ったんだ。
 『気にしなくていいよ。何かそわそわしているみたいだし、本当は飽きちゃったんでしょ・・・・時間はかかるかもしれないけど、案内なしでも目的地には一人でいくから気にしないで。』
 すると、フルールちゃんの顔が赤くなったんだ。何か言いたそうだけど、躊躇っている感じだった。恥ずかしそうにもじもじしながら足踏みや手悪戯をしたいた。
 『言いたいことがあるなら言っていいよ。できるだけ怒らないようにするから。何か嫌な話をしちゃっていたかな?』
 フルールちゃんは迷っていたけど、少し待つと何かを決心したようで蚊の鳴くような声で言った。
 『お・・・・おといれ・・・・。』
 『え・・・。』
 少し考えたけど、その一言で大体わかった。フルールちゃんはオシッコがしたかったんだ!
 そういえば今日はずっとトイレに行っていなかった。少ししたい感じはしたけど、雰囲気を悪くしちゃうといけないと思ってなかなか言い出せずにいた。それはフルールちゃんも同じだったんだね。 それに女の子はオシッコが近い方だし、あれ?女の子は逆にオシッコしなくても平気なんだっけ? それはともかく、フルールちゃんをおトイレに案内してあげられれば険しい表情もしなくなるし、そわそわと足踏みをすることもなくなるということだった。でも、知らない街だからどこに行けばいいのかはわからなかった。
 『このあたりに市場とか宿屋とか役所とかってある?』
 と聞いた。でも、フルールちゃんはええとを連呼するばかりでなかなか答えてくれない・・・・・案内する役だったけど、そのときはもうオシッコのことで頭がいっぱいでうまく案内できなくなっていたんだ。相当我慢させちゃったみたいだなあ反省反省。
 とりあえず、さっきのお店にもどってトイレを使わせてもらおうと思った。フルールちゃんの手を引いて、もと来た道を歩き始めた。でも、途中でフルールちゃんは歩くのをやめちゃったんだ。トイレを利用するためだけに、お店に入るのは恥ずかしいみたいだったんだ。そんなこと気にしている余裕あるのかなあとも思ったけど、近くにある広場にもトイレがあるからそこに行って欲しいといわれて、目的地を変更した。
 フルールちゃんは顔を真っ赤にしていた、顔からは汗が出てきて、すごく辛そうだった。余計なお世話だったかもしれないけど、ハンカチで汗をぬぐってあげた。歩き方は内股気味でゆっくりだった。でも、なんとか、広場に到着した。
 『ほら、もうちょっとの我慢だよ。頑張って!』といった。だけど本当はもうちょっとじゃあなかったんだ。広場は小さいからトイレも一つしかなくてそこが故障中で使えなかったんだ。
 フルールちゃんはもう泣きそうな顔をしていた。僕の腕をギュウっと掴んで『助けて・・・もう、限界なの・・・。』
 だから近くの家のおトイレを貸してもらおうと考えたんだけど、フルールちゃんにとってはやっぱり恥ずかしいみたいだった。
 『近くにあるトイレはそこだけだけど遠くまで我慢できる?』って聞いたら首を横に振った。『我慢できなくなったったらもっと恥ずかしいよ』というと、しぶしぶながらも『かしてもらう』と言えた。
 フルールちゃんはもうほとんど歩けない状態だった。一番近くの家までも歩くのにもかなり時間がかかりそうだった。
 『いつごろから我慢していたの?』と僕は聞いた。辛い気持ちを吐き出すことで少しは楽になってもらえるかなと思ったからね。
 『午前中からずっとしたかった・・・・。毎日、家を出る前に済ませておくんだけど、今日は緊張していたのと服を選ぶのに時間がかかったのとで、行き忘れていたの・・・。うう、こんなことならお昼にゼバルトティーをあんなにのむんじゃなかった・・・・。』
 『そうだったんだ・・・気付かなくてごめんね。それと飲み物を断っていたのにも理由があったんだね。無理にすすめるんじゃなかったなあ・・・。』
時間はかかったけど、なんとか目標の家まではこらえきれた。でもでも、可哀想なことにその家は留守だったんだ。今度こそもう少しだと思ったのにね。
 『もう、我慢できない・・・・。』
 フルールちゃんはスカートの上から手をあてがい始め、その場で足踏みをはじめた。
 『見ないで・・・・恥ずかしい・・・・。』
 僕は目をそむけながら、他の家に行くように言った。
 フルールちゃんも必死な顔でついてきたけど、5,6歩歩いた時点で、その場に蹲ってしまった。
 それで・・・・無理もないよね。ようやくおトイレできると思ったら二回もオアズケさせられちゃったんだものね。その場でもう限界になっちゃったんだ。
 前を服がぐしゃぐしゃになるくらい必死に押さえて、最後まで我慢して歩こうとしていたけど、やっぱりダメでしゅうううってオシッコが漏れ出しちゃったんだ。いくら押さえようとしてもそれはもう無理だった。
 
 その後、フルールちゃんの家に帰ることにした。フルールちゃんは全然怒っていないみたいだったけど、恥ずかしかったらしくてそれからはほとんどお話してくれなかった。
 でも、町を出るときに、一言声をかけてくれた。『この前はきちんと案内ができなくてごめんなさい。次までにはもっとしっかりとした女の子になっているから・・・また、この町に来ることがあったらお話ししましょう』って。嬉しかったね。次に来るまでにはボクももっと立派な魔術師になっていようと思った!




             



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